agenda imgAGENDA2050
CHArでは2050年の未来に向けて能動的にアクションを展開していくために、活動指針となる7つの項目をAGENDA2050として設定しています。7つのアジェンダは社会モデルの再編に向けCHArが住環境を切り口に集中的に取り組んでいくトピックです。今後、各アジェンダをもとにしたプロジェクト、デザイン、リサーチが展開され、アジェンダそのものも定期的に更新されていきます。また、アジェンダを掲げることで試みに共感し、一緒に伴走したいというプレーヤーと出会えることを期待しています。
This page was last edited on 2021.12.06 (v 1.0.0)
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SAFETY NET FOR HOUSING住まいのセーフティネット
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社会構造の転換期である今、公的枠組みによって提供されるソーシャルハウジングや、様々な非営利団体が提供する住居やシェルターなど、我々が安心して暮らしていくための「住まいのセーフティネット」の再構築が必要です。そのために は、近代の大型団地建設をはじめとしたハード偏重・開発型 の住宅供給モデルとは異なる、生活支援やコミュニティ運営 までを含めた包括的なアプローチによる「ハウジング」の再定義が必須です。そのためには、既存ストックの活用、公的 枠組みと民間の連携、地域社会との繋がりなど、今までハウ ジングという制度の外部にあった諸要素を組み込んでいく必要があります。CHAr は、これまで蓄積してきた知見・技術 をもとに、多様なプレーヤー/ステークホルダーと連携しな がら、新たな社会制度と空間モデルの構想に意欲的に取り組 み、地域社会のなかに多層的に住まいのセーフティネットを 構築していくことに取り組んでいきます。
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INVISIBLE SLUM見えないスラム
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「見えないスラム」はあらゆる先進国にとって脅威になりま す。一般的に日本には「スラム」は存在しないと言われてい ますが、それは都市社会学者マイク・デイヴィスが論じてき た南米、インド、東南アジアにあるインフォーマルかつ高密 度に空間を占有するメガ・スラムを想像するからであり、広 義の意味での「インフラ」から切り離されている状況をスラ ムと捉えるならば、日本には明らかにスラム的ななにかが増 殖しています。様々な専門家はそれを「見えないスラム ★1」「拡散型スラム★2」「新型スラム★3」などさまざま な呼称で呼んできました。従来であれば、格差は空間化され てきましたが、資本主義によって安価なサービスがインフラ 化することにより、一見擬似的に消費者は包摂されていると錯覚する状況が生まれ、格差が不可視化しているのです。そうした社会では連帯の可能性さえ奪われていきます。「見え ないスラム」が増殖する社会において、都市や建築の専門家 はどのように社会課題に向き合っていけばよいのでしょうか。1──★『建築雑誌』2011年1月号(日本建築学会)「特集=未来のスラ ム」における大月敏雄氏のテキスト「未来の東京の見えないスラム」にお いて使われた言葉。
2──★『建築雑誌』2011年1月号における小野田泰明氏のテキスト「水晶 都市・東京」において使われた言葉。
3──★『新建築』2011年10月号、2012年5月号(新建築社)での西沢 大良氏によるテキスト「現代都市のための9か条」において使われた言葉。
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REIGIONAL MODEL FOR AN AGING SOCIETY 高齢化社会の地域モデル
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2050 年には、日本国内の総人口に対する65 歳以上の割合 は4割近くになります。また、2020 年から2030 年の10 年間は、団塊世代の高齢化により後期高齢者の割合が急激に 高くなる時期です。戦後日本を支えてきた人口増を前提とし た様々な諸制度が、新たな人口構造を前提としたモデルへと 再編されるべき、非常に重要な局面を今迎えています。日本 は高齢化先進国であり、この状態をどのように乗り越えるか 世界も注目しています。そのために、新たな居住モデルおよび地域社会のあり方が模索される必要があります。様々な世 代が関わり合い、地域を基盤とし、100 歳まで豊かなに生 きることができる空間、コミュニティ、地域社会の創出に向 け、多様な主体によってプロジェクトが展開されていく必要 があります。CHAr は、これらの問題を単に「社会課題」と捉えるのではなく、新たなライフスタイル、価値観、地域モ デルの創出をする「機会」と捉え、そのために必要なプロジェクトを推進していきます。
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CREATION OF VOLUNTARY ECONOMYボランタリー経済圏の創出
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グローバル資本主義経済は、社会システムを均一化・単一化していく力を持っており、そのなかで各個人は社会から「承 認」を調達することが困難になってきています。人々を包 摂・承認し、地域ごとの多様性を実現していくために、グ ローバル経済とは異なる経済圏を複層的に創出していく必要があります。こうした問題意識に基づきCHAr は、人々の自 発性に支えられた経済圏(ボランリー経済★1)の創出に寄 与するプロジェクトをサポートし実践していきます。ボラン タリー経済は、グローバル資本主義経済とは異なる価値の循 環モデルです。こうした経済圏の創出に寄与する様々なアク ターやプレーヤーをエンアパワーし、社会システムを複層化 することに取り組んでいきます。 1──★金子郁容, 松岡正剛, 下河辺淳. (1998). ボランタリー経済の誕生― 自発する経済とコミュニティ, 実業之日本社
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DISASTER AND HABITAT災害と住まい
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新型コロナウィルスによるパンデミック、国内で毎年の ように繰り返される洪水・土砂災害、世界各地で発生し ている大規模森林火災など、災害を無視して居住環境を 考えることができない時代を私たちは生きています。住 環境のデザインにおいて、短期的なスパンではテンポラ リーな住まいやシェルター、長期的なスパンでは居住圏域の 再設定など、時間軸の違いによって異なるアプローチが必要 です。また、土木や構法をはじめとしたエンジニアリングの 力はもちろんのこと、コミュニティ、地域モデル、さらには その土地の文化・風習までを含んだ災害と住まいの関係を構 想する必要があります。災害という不確実性の高いファクターを居住モデルの計画理論のなかにいかに内部化するか、CHAr は日々の実践を通してこの問いに向かい合っていきま す。
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NETWORKING URBANISMネットワーキングアーバニズム
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ネットワーキング・アーバニズム★1は、都市を物理的実体として捉えるのではなく、さまざまなネットワークの複層として捉え、分散・点在するリソースを繋ぎ合せることでまちを 変えていくアーバニズム の考え方です。ネットワークの特質 を利用し、都市に部分的に介入することによって、都市空間 を構成する事物の関係性を修復・編集し、都市を成長させて いくことを目指す態度です。関係の結節点を発見し、そこを 引っ張りあげることによって芋づる式にさまざまなものに対 して影響を与える、そうした建築による都市への介入方法を 指します。1──★連勇太朗「ネットワーキング・アーバニズム試論」『新建築』2014 年8 月 号(新建築社、2014.8)
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OPEN DESIGN FOR URBAN SPACES都市空間のオープンデザイン
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まちは都市計画、建築の専門家や行政が一方的につくられる ものではなく、そこに住む多様なプレーヤーの力によって育 まれ創出されるべきものです。CHAr は、こうした人々の力 を最大化するために、空間改変の様々なリテラシーをオープンソースをはじめとした情報技術・情報基盤を駆使し、広げ ていきます。デザインのデジタルデータ、図面などの書類、 アイディアを公開し流通・伝搬させることで自律分散的にものづくりを実現する方法として 2010 年代以降、OPEN DESIGNという概念が注目されるようになりました。CHAr は、OPEN DESIGN をプロダクトの水準にとどまらず都市 空間を再編するための有用なアプローチとして積極的に応用 していきます。アイディアの公開・流通・共有・伝搬によっ て人々が自発的に都市空間再編のプレーヤーになる状況を生 み出します。